青山学院高等部3年生の時、推薦で青山学院大学の経済学部へ進学が決まっていました。
ところが、とある夏の日に『君はそれでいいのか?』と問いかける声が突然聞こえてきたのです。
『そのままの毎日で、自分へのチャレンジもせずなんとなく過ごしていって、君は本当にそれでいいのかい?』と。こんなことあまり今まで人には話して来ませんでしたけれど。変なこと言う奴だと思われるでしょうからね・・・。本当に不思議な瞬間でした。
でもその時、私はこの声と素直に向き合い人生の方向を180度転換する決意をしました。文系から理系へそれも医学部へ。そして医師になりたいと。
そもそも人から喜んでもらえる、感謝されるような仕事がしたいと以前から漠然と考えてはいました。そのような職種はたくさんあると思いますが、医師への道に進むことを決心したのは、今は亡き母が看護師で、子どもの頃から医療に対する興味や憧れがあったことも関係していると思います。
耳鼻咽喉科を選択した理由は、患者さんを初診時からその診断および治療、そして必要であれば手術をし、術後のフォローもしていけるという総合的に対応できる診療科であるからにつきます。他には整形外科、眼科、産婦人科などもそういった科ですから、もちろん考えましたね。でも耳鼻咽喉科はその中でも特に感覚器を取り扱うという大変細かな技術を要する繊細な科です。そこに魅かれた部分もあります。
これには当時鉄鋼会社の技術者だった今は亡き父の影響が大いにあります。父は剛性や可塑性、防錆性、耐熱性等々の特性を持った特殊鋼と言う製品の知識と技術を学び、それを生かした仕事をしており、「どんな分野でもいいから、手に技術を持て」とよく話してくれました。
父の言葉から自らの仕事にプライドを持ち、日々充実した仕事をしているという『親父の背中』が伝わりました。開業してからも手術を自分で行うことにこだわっているのは、この父の言葉が胸にあるからです。
2017.04.22更新
医師になるきっかけと耳鼻咽喉科を選んだ理由
投稿者: